YESでもNOでもいい。自分の意思を表現するって、なんて尊い。

おびなた・くみこ。パーソナルスタイリスト。アパレルブランドのスタイリングをはじめ、コラボ商品の企画、モデルなど多方面で活躍中。ライフワークとして保護犬の活動もおこなっている。2016年に著書『”エレガント”から作る大人シンプルスタイル』を発売。最近、数人から「あなたの中には武士がいる」と言われたとのこと。薄々、自覚はしていたらしい。

きっかけは運転免許証。

——臓器提供の意思表示をされていますが、そのきっかけは何だったのでしょうか。

車の免許を取ったときでした。もらった運転免許証の裏に、意思表示の記入欄があって、そこで初めて自分が意思表示をすることで臓器提供が可能になるんだということを強く意識したんです。

 

——「YES」を選択することに、迷いや葛藤はありましたか。

わたしのなかではごく普通なことでした。「そういうことなのね。もちろんですよ」って。免許を受け取ったその日に日付とサインをした覚えがあります。

 

——何かを決断したり意思表示するときには、とくに重要なことであればなおさら、知識やバックグラウンドが必要になるかと思います。何を基準に決めましたか。

最後の最後まで人のためになれるって、なんて素晴らしいことだろうって思ったんです。だから、できるだけ健康でいようと心がけています。たとえば、腸内環境をととのえて、肝臓や腎臓をきれいにしておこうとか。それは自分の健康のためでもありますしね。

——そう思うに至ったきっかけがあったのでしょうか。

なにか経験やきっかけがあるわけではないけれど、常に命については当たり前のことのように日々考えています。たとえば、車を運転するとき。いまでも運転するときは緊張しますよ。愛するワンちゃんたちに出会ってから、命についてより身近に考えるようになったかもしれないです。

 

——今日はキャンディちゃんとムーちゃんも一緒に撮影に来てくれました。大日方さんのおうちにはもう2匹の保護犬がいるんですよね。

彼らは癒してくれて、幸せな気持ちにさせてくれて、そして学びを教えてくれる。保護犬というと動物愛護という感じがしますけど、わたしが助けていたつもりが、彼らに救われたって感覚です。

——日向ぼっこしている姿を見るだけで癒されます。

たとえば、コンビニに行くのにたった5、10分家を空けただけでも、帰って玄関開けると、1週間ぶりの再会かな?ってくらい盛大に「おかえりなさい!」って出迎えてくれるんです、しかも毎回(笑)すごく嬉しいんですよ。なのに、どうして人間はできないんだろうって。だからわたしは夫が車で仕事の出先から帰宅したら「おかえり!今日もちゃんと帰ってきてくれてありがとう!」って犬たちと一緒にしっぽふりふりしながらお迎えするんです(笑)

 

——仲良しですね。意思表示のことを家族と話すことはありますか。

話します。でも、母と夫はわたしの意思表示に対して複雑な思いがあるらしく、まだ話し合いは続いています。そのなかでお互いを理解できたり、まずは話し合うことが重要かもしれませんね。

 

まわりは変えられないけど、
自分次第で景色は変わる。

——SNSでも積極的に社会課題への問いかけや、自分のオピニオンを発信したり、話し合いの場を設けようとしている印象です。

ちょっと前までごく普通の会社員だったので、インスタグラムを始めてから、いろんな人にいろんなことを言われることに正直びっくりしました。

でも、目を背けたら乗り越えられないから届いたメッセージはすべて読むようにしました。「そんなことないもん!」って思うものもあれば「これ図星だな」ってものもあります(笑)それはしかと受け止めて反省して。そう繰り返しているうちに「バカ」とか「アホ」とか、以前だったら重く響いていた言葉に対して悲しみも怒りも感じなくなりました。わたしには必要のない言葉だと思えるようになったんです。

そのとき、自尊心の本当の意味がわかって、自分を尊いと思うことができるようになりました。誰かの言葉で自分が傷つく必要なんて絶対ないし、自分で自分を守ってあげないとって。まわりは変えられないけど、案外いろんなことを自分で変えられるんだなって思います。

——臓器提供やその意思表示について、自分ごと化して考えることってなかなか難しいかもしれません。

自分の身やまわりに起きたりしないとわからないですよね。でも、自分のこととして考えてみることってとても大切。急に何かになることはできないけど、いろんなことを経験してそのレイヤーを少しずつ積み重ねていくことならできるんじゃないかなと思います。

 

【まずは自分ができること】
大日方さんが提供してくれた大切なものはコチラ。

〈ニールズヤード〉のボディローションとオイル ニールズヤードは40年ほど前から100%オーガニックで植物由来の製品を作っており、心と身体が健やかであることが本当の美しさと定義しています。素晴らしい企業理念で、大切なことを教えてくれた大好きなブランドのためセレクトいたしました。(大日方さん)

「誰かから提供された大切なものを受け取る」という体験を通して、臓器提供の意思表示への理解を深めてもらうために開催されるチャリティーマーケット。今回インタビューに応じてくださったおふたりをはじめ、6名の方がセレクトしたアイテムが出品されます。なお、売り上げの一部は移植医療の普及啓発活動に寄付されます。10月16日はグリーンリボンデー。ぜひ、自分にできることから参加してみてください。

すでに8人に1人は意思を表示。
あなたも「今の気持ち」を表示しませんか?

現在、新型コロナウイルスの影響を受けて臓器提供や移植が減っているという事実があります。一方、離れて暮らす家族や大切な人のことを想う機会は増えているのではないでしょうか。

 

誰かのためにできること。

YESでもNOでもいい。意思表示をすること。まずは関心をもって家族や大切な人と意思表示についてぜひ話してみてください。その行動は、きっと多くの人の支えにつながるはずです。

styling:山田莉樹(木佐貫まや)、hair&make-up:榎本洋介

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