棄てずにリサイクルし、それは孫の孫の代まで楽しめるアートになった
柳宗悦の目を止めた「素朴さ」
小径を歩くだけでも、窯業の中心地だった洞町を眺めることができて十分に感慨深いのだけれど、時間があれば道を外れていってみてほしい。美しく工夫を凝らした窯垣があったり、ゴミを重ねていっただけの素朴なものや、あまりきれいに並べてもいない、出来損ないとも言える窯垣もある。
これらが、長年ともなった苔をむしていたり、絶妙なエイジングを経ていて美しいのだ。
資料館のおばあちゃんが
教えてくれた
なぜゆえに窯垣ができたのか。そもそも、器でもなんでもない円柱と板は、なんだったのか。その謎を解くカギは、小径の傍らにある資料館で見つかる。
80歳を超えるおばあちゃんたちがボランティアで案内している資料館、門をくぐると最初に目に入るのがこの棚だ。
巨大な窯の内部空間に、無駄なく焼き物を詰めるためには、高温に耐える棚を作る必要があった。絶えず1300度の高熱にさらされる、これら棚の構成物「エンゴロ(製品を保護するための器)、エブタ(棚板)、ツク(棚板を支える柱)」は、繰り返し使われることで傷み、廃棄物となる。
おばあちゃんたちはビデオを上映しながら、どうやって瀬戸の男衆が棚板を組み上げて、熱気の立ち上る窯の前で燃料を入れ続けたのかを、とくとくと説明してくれた。